新・ノラの絵画の時間

西洋美術史・絵画史上重要な画家たちの代表作品と生涯をまとめました。

3分でわかる初期ネーデルランド派(3) ネーデルランド(フランドル)・ルネサンスの主要画家と代表作品(2)

 

 

ネーデルランド(フランドル)・ルネサンスの代表的な画家と作品(2)

 

1400年〜1450年まで (生年順) 

 

ジャック・ダレー(Jacques Daret 1404 - 1470)

 ジャック・ダレーは、ロベルト・カンピンの弟子でロヒール・ファン・デル・ウェイデンと同門です。現存するダレーの作品は4枚のみですが、ジャック・ダレーの作風は最初のネーデルランド(フランドル)・ルネサンスの画家とされる「フレマーレの画家」に酷似しています。

 そのため、ジャック・ダレーの師匠のカンピンが「フレマーレの画家」だろうと推測されています。

 

 よくロベルト・カンピン作という祭壇画を見かけますが、あれはすべて「フレマーレの画家」の作品であって、ロベルト・カンピンの作品かどうかはわからないのです。

 

 ロベルト・カンピンはネーデルランド(フランドル)ルネサンスの最初の画家だと言われていますが、実は確実に彼の作品であると認められているものは一枚もありません。

 

 

 

ヨース・ファン・ ワッセンホフ(Joos van Wassenhove 1410 - 1480)

 イタリアの画家・美術史家であるジョルジョ・ヴァザーリ「画家・彫刻家・建築家列伝」によれば、ヨース・ファン・ ワッセンホフは、ヤン・ファン・エイクの兄であるフーベルト・ファン・エイクの弟子だったそうです。

 

 

アルベルト・ファン・アウワーテル (Albert van Ouwater 1410/1415 - 1475)

 初期フランドル派の初期の画家の一人です。フランドルとは言っても、彼の活躍した都市ハールレムは北ネーデルランドにあり、南に位置するフランドルとは離れているため、「ハールレム派」の創始者として位置づけられています。

 

 

ペトルス・クリストゥス(Petrus Christus 1410/1420 - 1475/1476)

 ヤン・ファン・エイクの弟子で、彼の死後、彼の工房を引き継義ました。師のヤンと同じく、創意工夫と確信性に富み、北ヨーロッパで初めて(1457年)正確な遠近画法(一点透視図法)で絵画を作成しています。

 

 彼の「若い女の肖像」はフランドル絵画の傑作の一つと言われています。彼の死後は ハンス・メムリングがブルッヘの画壇を牽引しました。

 

 

ディルク・ボウツ(Dirk Bouts 1410/1420 - 1475)

 ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの弟子だったと考えられています。彼が1464年に描いた「最後の晩餐」は、ペトルス・クリストゥスの「玉座の聖母と聖ヒエロニムスと聖フランチェスコ (Virgin and Child Enthroned with St. Jerome and St. Francis)」に次いで2枚目の一点透視図法を用いた絵画となっています。

 

 

バーテルミー・デック(Barthélemy d'Eyck 1420 - 1470)

 宮廷画家であり、装飾写本作家。ヤン・ファン・エイクの親戚筋で、ヤンの工房で修行した可能性が指摘されています。リンブルグ兄弟「ベリー公のいとも豪華なる時祷書(Les Très Riches Heures du Duc de Berry)」に、ヤンとともに参画していたと推測されていますが、確証はありません。

 

 

 

シモン・マルミオン(Simon Marmion 1425 - 1489)

 当時の写本装飾の第一人者です。

 

 

ハンス・メムリング(Hans Memling 1430/1440 - 1494)

 ディルク・ボウツと同じくロヒール・ファン・デル・ウェイデンの弟子です。徹底した写実表現を用いた肖像画の第一人者であり、ヤン・ファン・エイクとその弟子のペトルス・クリストゥスの死後、ブルッヘの画壇を牽引した初期ネーデルランド派(初期フランドル派)の巨匠です。レオナルド・ダ・ヴィンチのモナ・リザにも影響を与えたと言われています。

 

 

 

 

フーゴー・ファン・デル・グース(Hugo van der Goes 1440 - 1482)

 当時のフランドル最高の巨匠の一人でしたが30代半ばで修道院にこもってしまいました。ヤン・ファン・エイクへの劣等感から精神的におかしくなり、40代前半で自殺を図り、翌年死亡しています。

 

 

 

ジャン・エイ(Jean Hey / Jean Hay ? - 1505)

 筆致からフーゴー・ファン・デル・グースの弟子だと考えられています。ムーラン大聖堂の祭壇画を制作した通称「ムーランの画家」と同一人物であろうと推測されています。

 

 

ヒエロニムス・ボス(Hieronymus Bosch 1450 - 1516)

 大変個性的でユニークな作品を残しています。その個性は後期の初期フランドル絵画史では傑出しており、フランドル派と言うことさえためらわれます。「これが本当に15世紀の絵画なのか?」と思わず目を疑う、悪夢のような楽しい作品を制作しました。

 

 

 

 

 

 次回はネーデルランド・ルネサンスの画家たちの3回目、1450年以降に生まれた画家たちと主要作品をお送りします。

 

/*トップに戻るボタン*/