新・ノラの絵画の時間

西洋美術史・絵画史上重要な画家たちの代表作品と生涯をまとめました。

3分でわかるコレッジョ(1) 盛期ルネサンスの頂点!コレッジョの前半生と代表作品

 コレッジョの前半生と代表作品

 

 今回は、イタリア・盛期ルネサンスの画家アントニオ・アッレグリ・ダ・コレッジョ(Antonio Allegri da Correggio, 1489年頃–1534年)です。

 

 

 コレッジョは、盛期ルネサンスにイタリアのパルマを中心に活躍した最も重要な画家です。彼は、ルネサンス期の頂点を極めた画家と言っても過言ではないほどの巨匠ですが、その45年の生涯はほとんど明らかになっていません。

 

 コレッジョは、初期にはアンドレア・マンティーニャレオナルド・ダ・ヴィンチの影響を受けた作品を残しています。しかし、20代後半からダイナミックな構成とドラマチックな描写、遠近法を使った錯視的効果を取り入れた独自のスタイルを確立し、その作風は、17世紀のバロックと18世紀のロココの先駆けとなりました。下図2枚はコレッジョの代表作です。

 

 

・1489年頃、アントニオ・アッレグリ・ダ・コレッジョ(Antonio Allegri da Correggio)は北イタリアのReggio Emilia(下図)近くの小さな町コレッジョで生まれました。

 

 

 彼の本名はアントニオ・アッレグリ(Antonio Allegri)で、父親のPellegrino Allegriは貿易商人でした。

 

 幼少時代の詳細については明らかになっていませんが、叔父の画家Lorenzo Allegriに絵を教わったのではないかと考えられています。

 

・1503〜1505年、14歳からコレッジョはモデナのFrancesco Bianchiの元で絵を学びました。この頃Lorenzo Costa(ロレンツォ・コスタ)やFrancesco Francia(フランチェスコ・フランチャ)の影響を受けました。

 

・1506年頃、コレッジョはマントヴァを訪問しています。その頃マントヴァでは70代半ばのアンドレア・マンテーニャ(Andrea Mantegna)がゴンザーガ家の宮廷画家をしていました。コレッジョは、マンティーニャの遠近法や短縮法を取り入れたスタイルに感銘を受けました。マンテーニャは、この年の9月に死去してしまいます。

 

 下図はマンティーニャの「死せるキリスト」です。足元から見たキリストを短縮法で描いた絵画史上初めての作品です。ただ、短縮は確かにされているのですが、頭が大きすぎて不自然に見えるところが問題点です。

 

 

 

 コレッジョはマントヴァで活動し、1508年(19歳頃)には最初期の作品「Adoration of the Child with St. Elizabeth and John」(下図1枚目)「Barrymore Madonna 」(下図2枚目)を制作しています。まだ、うまい!という感じはまったくないですね。むしろ下手くそでしょう。でも、天才はここからが違います。恐ろしい勢いで才能が伸びていきます。

 

 

・1514年、マントヴァにあるマンテーニャ家のSant'Andrea教会の入り口にある2点のトンド(円形の作品)を制作しました。さらに、記録されている最初の絵画である「Madonna of St. Francis祭壇画」(下図)も完成させています。上記の絵から見ると急速に技術が上達していることがわかります。

 

 

この頃の代表的な作品には次のようなものがあります。

1513 Madonna and Child with the Infant John the Baptist

1514 Bolognini Madonna

1514 Saints Peter, Martha, Mary Magdalen and Leonard

1514 Taking Leave of His Mother.

1515 Adoration of the Magi 

 

 

 

・1516年頃、20代半ばのコレッジョはパルマに拠点を移し、その画風も徐々にマニエリスム調になっていきました。

1517 Bolognini Madonna

1518 Madonna and Child with the Infant John the Baptist

 

 

・1519年、30歳のコレッジョはGirolama Francesca di Braghetisと結婚しました。二人は4人の子供をもうけ、そのうちの一人Pomponio Allegriは長じて画家になりましたが、父親を超えることはできませんでした。

 

 同年、Camera di San Paolo(サン・パオロ尼僧院)の天井画の制作という大きな依頼が舞い込みました。コレッジョは大変デザイン性の高い、革新的な天井画を描いています(下図1〜2枚目)。また、彼は暖炉のフレスコ画(Diana)(下図3枚目)も制作しました。

 この天井画の仕事から、彼の才能が爆発的に開花します。

 

 

・1520年San Giovanni Evangelista(サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ)教会の天井画「Vision of St. John on Patmos」を手がけました。この天井画では、マンティーニャが開発した短縮法を使って錯視効果を狙っています(中心のキリストが短縮されているため、下から見たような錯視効果を生み出しています)。

 

 

・1522年Cathedral of Parma(パルマ大聖堂)の天井画「The Assumption of the Virgin」(下図)を制作しました。この作品はミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画と肩を並べる、天井画の最高傑作です。

 

 この天井画では、人体は中心に行くほど短縮して描かれているため、絵画の中心の方が非常に高い位置にあるような錯覚に囚われます。

 

 

  次回はコレッジョの後半生と代表作品です。コレッジョは宗教画だけでなく、官能的な神話画のシリーズを制作しています。

 

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